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第10回「脳の左・右は体の反対側を支配」

第4回「脳の中のこびと」で、脳を左右対称に縦に輪切りにした断面で感覚中枢(感覚野)と、運動中枢(運動野)はほぼ同じ配列で以下のように順に並んでいることを示しました。首より上の部分、手指を支配する脳の部分が、他の四肢や体幹と比べると大きくなっていることがわかります。

■大脳の縦切り断面図での「感覚野」の並び(大脳の右半分)
              上
20170303-002.jpg
外側            下             内側

■大脳の縦切り断面図での「運動野」の並び(大脳の左半分)
              上
20170303-002.jpg
外側            下             内側

ここで注目すべきは、感覚の経路も運動の経路もともに左右の脳は体の反対側を支配しているということです。すなわち、感覚機能、運動機能のどちらも、脳の左が体の右、脳の右が体の左を担当することになります。ですから、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳外傷などいろいろな疾患で大脳が傷つくと、障害された側と反対側の手足、胴体などに症状が現れます。これは、運動、感覚を伝える経路の大部分大脳より下の脳幹や脊髄で反対側に交差してしまうためです。脳幹や脊髄で障害された場合には、障害が現れる側はもう少し複雑な現れ方をします。また、運動のコントロールや体のバランスを担当する小脳はほとんどの場合、障害された側と同じ側に症状が現れますが、小脳や脳幹の障害される場所によっては反対側の体に障害が現れます。
このように細かいところでは複雑な場合もありますが、原則として、「大脳の傷ついた側と反対側の手足に症状が現れる」と覚えておいて差し支えありません。昔から時々聞かれる「半身不随」という言葉は、左右のどちらかの半身の麻痺のことですが、もう少し医学的には「左片麻痺」、「右片麻痺」と表されます。そうすると、「左片麻痺」は右脳の障害、「左片麻痺」は左脳の障害ということになります。
 ここで、大脳の中で言葉を話したり、聞き取ったりする機能を担当する「言語野」は、9割以上の人で大脳左側にありますので、言語機能の障害(失語)の症状をもつ人は原則として右(片)麻痺であり、逆に左(片)麻痺の人は失語をもたないということになります。

次回、第11回は「多系統萎縮症」です。

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